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若者の課金離れ
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うpってれぅ。

バレマスで百合はやらねーよwww

Part1の市場をあんなので埋めたの誰だwwwもっとやれwwww

亜美と真美がベレッタに怯えた理由は別に伏線のつもりはありませんでした。
嘘ですしっかりそのつもりでした! さすがだね俺! なんて無駄のない構成!(うつろな目で)

六話はジョン・ウーというより、前々から言ってるようにカート・ウィマー、つまりリベリオンになるだろうなぁ。
いや横っ飛び二挺拳銃も素敵だけどさ。あと鳩。

しかしながら、つまらなくねーかなぁとすげー不安だったのですが、それなりに楽しんでいただけているようで一安心しておきます。
もっとこう、日常が面白く描けるようになりたいねぇ……。

以下、件のカットした麻雀描写と徒然。
本編のネタバレなので一応隔離。
所詮初心者の麻雀描写なんで、ルールが間違ってたりありえなかったりしても、宇宙麻雀的なバグってことで笑って見逃してね、てへ♪
(動画にしなかったのでこう言い訳してみる)

Part2の1:10辺りから――
本編とは若干会話の流れが異なっています。
途中、( / )となっているのはルビです。

-----------------------------------------------------------

「ところで律子。どうせお前ヒマだろ?」
 各々席に座っているところに、プロデューサーさんがいきなりそんなことを言い出した。
「……まるで私がいつも暇みたいな言い草ね。……今日は確かに、時間はとれるけど」
「よし。じゃあ打ちながら話せ」
 と言い、プロデューサーさんが奥からなにやら引っ張り出してきたのは……あれは、麻雀卓?
 ……なんで芸能事務所にそんなものが?
「懲りないわねぇ、あなたも……。それに割と真面目な話なんだけど」
「うるさい、俺も生活費がかかってんだ。それに、麻雀やりながら真面目な話しちゃいけないなんて法律あるか? ないだろ?」
「……ま、別にいいけど。お小遣いが欲しかったところだし。どれくらい賭けるの? 五万円くらい?」
「いや。十万だ。……半荘終了時点での一位が、十万をもらう。それでいいな?」
「半荘一回でいいの? なら別にいいわよ」
 などと変な方向へ話がいっている。
 というか、話を聞くに……お金賭けるの? ……いいの?
「あ、あの……」
 心配になって小鳥さんに話しかけると、彼女はくすりと笑った。
「いつものことよ、大丈夫」
 いつものこと……?
 呆然とする私をよそに、あっという間に場に準備がなされていく。
 ……いいのかなぁ、こんなことしてて。

* * *

 じゃらじゃらと牌がかき回される。
 私は麻雀のルールは分からないけど……おそらく素人目に見ても、みんな実に手慣れた手つきだった。
 ちなみに参加しているのは、当たり前のことだが、プロデューサーさん、律子さん、社長さん、小鳥さんと……つまり、私と美希以外の四人である。
「……一応、これから大事な話をするから、春香も聞いておいてね?」
「あ、はい……」
 麻雀の中で大事な話とは。なかなかにシュールな光景である。
 しばらくして準備が整ったらしく、律子さんがサイコロを振り始めた。
「……それで律子君、話とは何だね?」
 牌を取りながら、社長さんが律子さんに話しかけた。
「えぇ。ぐだぐだ言うのもなんだから、率直に言わせてもらいますが――」
 律子さんは、ぱし、と牌を盤の上に捨てながら、

「うちの美希と、そちらの春香を――ユニットとして組ませたいの」

 …………。
「……え?」
 初めに声を出したのは、図らずも私だった。
「え? え? ちょ、えぇ……? り、律子さん、どど、どうして……?」
 律子さんはプロデューサーさんが捨てた牌を指差しながら、
「あ、それポン。――えっと、もちろん、春香にとっては強制じゃないのよ。嫌なら嫌って言っていい」
 麻雀牌が打ち出されてゆく音の中、律子さんの声ははっきり響いた。
 少し間が空いた。
「……リーチだ!」
 プロデューサーさんのせききった声。
「ユニットを作ることのメリットについてはこれから話すわ。……だからボンクラなのよ、あなたは。ロン」
「んだとォっ!?」
 ぱたぱたと律子さんが牌を倒す。……いまだにルールが分からないけど、彼女は大分強いようで……プロデューサーさんから何かの“棒”をたくさんもらっていた。
 ……再度牌がじゃらじゃらとかき混ぜられていく。
「まず第一に。――私たちは幸運にも、今まで何とか“オール”の猛攻を防いできた。でも、初オーディションのときを思い出してもらえば分かると思うけど、すごく厳しい闘いだったわよね」
 ……オーディションのとき。思い出したくもない、“Masters”との闘い。
 辛かった。とても苦しかった。
「――だから、これまで以上に、私たちと765プロとの結びつきを深めたいの」
 律子さんは、すらすらと言葉を紡いでゆく。
「ちょっと嫌らしい話になっちゃうんだけど……やっぱり、いくら私たちが一緒に行動してると言っても、絶対に誰かに対する優先順位ができちゃうと思うのよね」
 律子さんが話をしながらも、麻雀卓ではどんどん牌が行き来していく。
「……クソ、チーだ!」
「つまり、私の場合で例えると――美希と春香が絶体絶命の危機に陥ったとする。助けられるのは一人きり。そうなったら、多分――」
「……それ、ポン!」
「多分私は――自分のところのアイドルだからって理由で、美希を選んじゃうと思うの」
 きっぱりとそう彼女はそう言った。
「チー!」
「……プロデューサーさん、三鳴きですか? 大丈夫ですか……?」
「いいんですよ小鳥さん。……今は“流れ”が欲しい」
 そんな会話が飛ぶ。
 律子さんは牌を切ったあと、一息ついてから――
「……失礼な話だけど、それは765プロのほうでも同じだと思うのよ。
 とまぁ、これはあくまで例え話で、何が言いたいかというと――そういう、“心理的な差”をなくしたいの。美希にも春香にも、同じユニットだからという理由で、優先順位をつけられないようにしたい。これが大きな理由ね」
 そんな発想は――正直に言って考えもしなかった。でも、言われてみれば分かるように、確かにありえなくはないことだ。
 ……律子さんも人間だ。そこには感情があるだろう、けれどそれよりも露骨に、打算だってある。
 確かに嫌らしい話だった。けれど、彼女の素直な物言いには、不思議と不快感を覚えなかった。
「よし、ツモだ!」
 プロデューサーさんが明るい声で言った。どうもあがったらしい。
「……喰いタン? ドラが一つも乗ってないじゃないの。そんな手、あがってもしょうがないわよ」
「うるさい。とにかく風向きが俺にくればいいんだよ、律子」
「……ま、そういう考え方は否定しないけどね」
 律子さんは肩をすくめる。
 牌がまたかき混ぜられる――
 少し間を置き、律子さんは少し口調を明るくして言った。
「第二に――これはポジティブなメリット。お互いのアイドルに、“刺激”が欲しいの。うちの美希は、見て分かる通り――」
 と、律子さんは、隅っこにいる美希を指差す。彼女は、天国にいるかのように気持ちよさそうに眠っていた。
「……むにゃ、えへぇ、ばばろあおにぎり~」
 雀卓の上での激しい闘いも何のそのである。
 律子さんは苦笑しながら、
「――いつもこんな感じよ。そのせいでオーディションも勝てたり勝てなかったり。日によって全然違うわ」
 律子さんは十秒ほど手を止めて、考える素振りをしてから牌を切っていった。
 また話を続ける。
「だからそんな状況を打開したいの。春香と一緒にレッスンをして、オーディションを受けることで……彼女の精神的な起爆剤になってくれないかって。そういう期待」
 と、彼女は、私に笑顔を向けた。
「幸いにして、春香と美希は別段相性が悪いわけでもなさそうだし。春香にとっても、身近に競争相手ができるのはきっとプラスになると思うわ」
「…………」
 そう……なのかな。
「で、でも……あの、私、まだ全然下手ですし……その、美希のほうが絶対才能ありますし……いつか、私、足を引っ張ることになっちゃうんじゃあ……?」
 おそるおそる言った私の言葉に、律子さんはすぐに首を振った。
「そんなことないわよ。あなたはあなたで、美希に負けないとてもいい才能を持ってる。……私はそう思ってるわ」
 彼女の目は、決してお世辞を言う風ではない、とても真摯な光を宿していた。
 ……分からない。そう言われると、逆に自信がなくなってくる。
「どうでしょうか、社長」
 律子さんは社長さんに言った。彼は牌を切りつつ頷いて、
「うむ。私に異論はない。律子君の言うとおりだと思う。これから闘っていくためには、今より強い結びつきが必要だろう」
「ありがとうございます、社長。……あなたは?」
 続けて律子さんはプロデューサーさんに顔を向けた。
「リーチだ! ……ん? 何か言ったか律子」
 棒を投げながらプロデューサーさんは聞き返した。明らかに聞いていない様子だった。
「……。……まぁ、別に聞かなくてもよさそうね……」
 律子さんは呆れた顔をしながら頷く。
 そのあと――私を見た。
「美希もあそこのボンクラと似たようなこと言ってたからいいとして……あとはあなたよ、春香。……どう?」
「え、え、ど、どう、って……」
 律子さんはこちらを落ち着かせるように柔らかく笑って、
「さっきも言ったとおり、決して強制じゃないわ。嫌だって言うなら、この話は白紙に戻すだけ。人の考え方はそれぞれだし、私はそれについてあなたを恨んだりはしない」
「う、え、あ、……」
 どうしよう。どう答えればいいんだろう……
「……す、少し、考えさせてくれませんか」
 苦し紛れにそう言った。
 しかし律子さんはあっさりと頷いた。
「分かった。それじゃしばらく待ってるわ」
 そう言って社長さんたちのほうへと向き直る。
「……ツモ! 満貫だ!」
 と、プロデューサーさんのそれはもう明るい声。察するに、多分……いい感じであがったんだろうなぁ。
「どうだ律子! 今日はついてるぞ!」
「あー。そうみたいね。よかったわね」
 どうでもよさそうな律子さんであった。

* * *

 ……どうしよう。
 私はずっと考えていた。
 美希は……さっきからずっと眠っている。本当に気楽だ。
 ……私なんかと組んで、嫌じゃないのかな。
 それを聞いてみたかった。けれど、無理矢理起こすのもなんだか気まずい。
 仕方なく……目の前で繰り広げられている麻雀に目を戻す。まぁ、律子さんから催促されたわけでもないので、美希が起きるまで待ってても大丈夫かな……
「……悪いわね、ツモ。タンヤオ、イーペイコー。……裏ドラ含めて、ドラ4ね」
 律子さんがあがったらしく、牌を倒す。
「チ……!」
 プロデューサーさんが忌々しげに棒を律子さんに投げた。
「あの……これ、一体どうなってるんですか」
 私は声のボリュームを抑えて、小鳥さんに問いかけた。
「今のところは僅差でプロデューサーさんが勝ってるけど……流れは律子さんのほうね。この(半荘/ハンチャン)はあと一局だから……はたしてどうなることやら」
「……半荘ってなんですか?」
「えーと……簡単に言うと八回戦が一区切りってこと。親の勝ちとかで変わったりすることもあるんだけど」
「はぁ……」
 何だかよく分からない世界だ。
「……小鳥さんは今何位なんですか?」
「私? 私は三位キープ。プロデューサーさんと律子さんが熱くなっちゃってるから、部外者の私は場を乱さないようにするだけよ」
 ……何か暗黙の了解でもあるんだろうか。
 さて、牌がかき混ぜられ、山が積まれて再戦開始。
 十二巡ほどした辺りで、
「……リーチだ」
 プロデューサーさんが棒を投げ捨てた。
 リーチ……ということは、あがりまであと一つということなんだろうなぁ。つまりプロデューサーさんが勝ってるってことかな。
 なんだか変にはらはらしてしまう。
「……おいおい律子。どうした? なんだか手が遅いみたいだな」
「あなたと違って、軽い手で適当にあがったりはしないのよ」
「言ってろ。俺はこれで引けないはずがない。逃げ切って終わりだ……!」
 そう言い、プロデューサーさんが牌を取る。が……狙いがはずれたのか、忌々しげにその牌を場に捨てた。
 が――
「……ねぇボンクラ。“アマは戦術を語り、プロは後方を語る”って格言、知ってるかしら?」
「あぁ? 知るか。いいから早く――」
「後方っていうのは、つまり補給のことよ。食料や武器を確保しないと、到底戦場では闘えないのよ。……ロン」
 言いながら、律子さんは牌を倒した。
「……ッ!? (西/シャー)単騎待ち……!? しかも、(二/リャン)(五/ウ)ー萬が(暗刻/アンコー)だと……!?」
「悪いわね、あなたの待ち、潰させてもらったわ」
 プロデューサーさんの顔が驚愕に固まる。
「おまえ……! 俺一人に、狙いをしぼって……!」
「補給が来ないんじゃあがれるはずなんてないからね。……これで逆転」
 律子さんが淡々と言い放った。

 ちなみに小鳥さんに聞いた話によると、どうやら律子さんはプロデューサーさんのあがり牌――つまり、これが出てくればあがれますよ、という牌を律子さんがほとんど持っていて、どのみち彼にあがりはありませんでした、ということらしい。
 えーと。要するに、律子さんの逆転勝利ということらしい。

* * *

「さて。面倒くさい人も片付いたことだし……」
 律子さんは肩を揉みながら、私を振り返る。
「急かすつもりはないんだけど、春香、決まっ――」
「……待て」
 しかし。そんな律子さんを呼び止める声。
 彼女は、呆れながら雀卓へ向き直る。
「また? あなたもうお金ないでしょう」
「……あぁ。金はない。だがな、賭けるものはある」
「賭ける……もの? なに、指でも詰めるの?」
 律子さん発想が恐ろしいです。
「違う。……ユニット権だ」
「……はぁ?」
「さっきお前、春香とそこの金髪をユニットに組ませると言ったな。俺はまだそんなこといいとは一言も言ってない。……それを賭けよう」
「何言ってるのか分からないんだけど……いえ、分かるんだけどあまりにも馬鹿馬鹿しすぎて分かりたくないというか……」
「お前が勝ったら許可してやる。負けたら、十万返せ」
 ……私は、呆れを通り越して何だかプロデューサーさんが可哀想になってきました。
 と、そんなとき。
「ふぁ、あ……」
 部屋の隅から声。
「あふぅ……あれ? 律子、もう終わったの~?」
 寝飽きたのか、騒音で起きてしまったのか……美希が体を起こしていた。
 そんな美希を見て、思いついたように律子さんは立ち上がった。
「ん?」
「……私、もう何だか疲れちゃった。美希に打たせていいなら、やってもいいわよ」
 などと彼女は言う。
「ふぇ?」
 突然白羽の矢が立てられた美希。
「……一応聞いておくが、実はそいつプロじゃないだろうな?」
 プロデューサーさんの問いに、
「当然じゃない。まったくの素人よ」
「え? え? なに、ミキが何かしたの?」
 困惑している美希を、律子さんは引っ張ってきて、
「とりあえず打っちゃってみて。今日は勝ったから、あとで何かおごってあげるわよ」
「え? なに、ミキ、てきとーでいいの?」
「えぇ。てきとーでいいわ」
 いいのかな、そんなんで……。
「チ……おい、春香」
 プロデューサーさんが急に話しかけてきた。
「え? わた、私ですか?」
「あぁ。お前も、俺の代わりに打て」
「は、はい!? なんでですか!?」
 プロデューサーさんは忌々しげな顔をして、
「……悔しいが、今の俺の流れは悪い。何か別の刺激が欲しい。場を変えたい。……幸いにして、相手は素人だ。お前でもボロ負けするってことはないだろう」
「あの……私ルールとか全然分からないんですけど……」
「必要最低限は教えてやる。安心しろ、流れを掴めたらすぐ交代してやる」
 いいのかなぁ……。
 けど、一応私も彼にお世話になっている身、自分のプロデューサーの生活がかかっているとなるとどうも見過ごせない。
「……負けても怒らないでくださいね」
「無理だ」
 えぇー。

 などと一悶着あったのち、麻雀が再開された。
 麻雀というものは基本的に、牌を三つずつ組み合わせていくゲームらしい。数字が順番に三つ並んだものや、同じものを三つ合わせたものを面子といい……それを四つ作る。そしてもうひとつ、雀頭といって同じ牌……ペアを一つ作る。ここまでできて初めてあがることができる。……らしい。
 さて、私はそんなルールを簡単にプロデューサーさんから教わっただけ。他は一切知らない。
「……なかなかいい配牌だな」
 プロデューサーさんが、私の肩越しにのぞき込みながらそう言った。訳が分からないけど、そういうことらしい。
 最初から三面子が出来上がっている。こういうのを“手が早い”っていうのかな。
 何はともあれ、局は進んでゆく。
 と……四巡目辺りだっただろうか。
「あれ? これ……リーチですか?」
「……そうだな。リーチだ」
「り、リーチ」
 プロデューサーさんに教えられながら、棒を一本卓に出してリーチ宣言。まだ美希も何も言ってこないので、どうやら私が一番早いらしい。
 そして六巡目……
“七萬”という牌を引いた私。あれ、これって……
「えっと……つ、ツメ? ツマ?」
「……ツモだ。ほれ、牌を倒せ」
「は、はい……」
 言われたとおり、ぱたぱたと牌を倒す。
「タンピンドラドラ……いい滑り出しだな」
「……はぁ」
 三人から点棒をもらう私。……まぁ、勝てたというのならそれはそれで嬉しいかも。

 そんな感じで……ビギナーズラックというやつなのか、私はプロデューサーに指導されながらも、それから三局はずっとあがりっぱなしだった。
 点棒はどんどん増えていき、ダントツのトップだ。
「やるじゃないか。……流れが思ったよりいいな。このままお前が打て」
「は、はぁ……」
 プロデューサーさんがぽんぽんと私の頭を叩く。けど、なんだかんだと誉められるのはまんざらではなかった。
 とりあえず、このままいけば勝てるのかな……?

 しかし、次局。
 私は手が悪く、なかなかテンパイにならずこまねいていると、
「……ん。ツ、ツモ? なの」
 と。ついに美希が動き出した。
 だが、その美希のあがりは……タンヤオという役のみで、点数はとても少なかった。
 まだまだ私と逆転するには程遠い。
 だが。美希はそれで麻雀の形を掴めたのか――

 様子がおかしくなってきたのは、南一局のことだった。
「……えーと。ポン」
 一巡目、私が“中”という牌を切ったら、いきなり美希がそう言ってきた。
「あの、ポンってなんですか?」
「二つ同じ牌が揃ってるときに、その牌を誰かが捨てたら、それをもらえるってルールのことだ」
「へぇ……」
 そんなルールがあったんだ。
 続く二巡目……
 私が“發”という牌を捨てると、
「んー。ポン」
 と、再び美希が言った。どうも、“ポン”とは何回もやっていいことらしい。
「……大三元、だと……? いや、んな馬鹿な……」
 プロデューサーさんの呟きが聞こえた。
「あの? プロデューサーさん……?」
「……いや、気にするな。リーチしろ。あんな素人に、大三元なんて入るわけが……」
 何やらぶつぶつ呟いているけど、とりあえず私は言われた通りリーチ宣言する。
 そして何巡かあと……
 私は、何も書いていない牌……“白”というらしい……を引いた。これは私のあがり牌ではない。
 なんだか嫌な予感がして、プロデューサーさんの顔を見る。
「……大丈夫だ。通る。通るに決まってる……!」
「は、はぁ……」
 変に気迫がこもっていた。
 私はどうしようもないので、そのまま“白”を切った。
 しかし……
「え……と。ロン?」
 パタパタと美希が牌を倒す……“白”“發”“中”が三枚ずつ綺麗に揃ったその役は――
「大三元……!」
 呆然したようなプロデューサーさんをよそに、
「なにこれ、律子、すごいの?」
 などと疑わしそうに、後ろの律子さんに聞く美希。
「えぇ。すごいわ。役満って言ってね、最高の得点なのよ。……あと“さん”をちゃんとつけなさい」
「ふぅん……」
 しかし美希はさしたる感慨もない様子である。
 ん? さっき律子さん、“最高の得点”って言ってたけど……ひょっとして私まずい?
 それを裏付けるようにして、大量の点棒が失われてしまった。

 続く南二局――
「……クソ、あんなのは交通事故みたいなもんだ。気にするなよ、春香!」
「は、はい……」
 どちらかというと気にしすぎているのはプロデューサーさんだと思われますが……。
 ちら、と美希を見る。難しそうな顔をしている美希が、律子さんからアドバイスをもらっているようだった。配牌が悪いのかな……?
 先ほどの不幸の裏返しか、私は実に四巡目でテンパイした。
 しかし……
「……リーチはするな」
 プロデューサーさんが、そう私に耳打ちした。
「リーチをすると、手を変えられない。つまりツモ切り……引いてきた牌しか捨てられないんだ。さっきみたいなことはもう起こらないだろうが……一応の保険だ」
 私は言われたとおりにした。
 待っているのは“六(筒/ピン)”と“九筒”。だが、なかなかそれが来ない。
 十巡、十二巡とどんどん進んでゆく……
 十四巡目。引いたのは、“北”。
「チ……無駄ヅモか。さっさと切れ」
 プロデューサーさんの言うとおり、それを捨てた。
 が――
「ロン、なの」
「なにぃいッ!?」
 プロデューサーさんが叫んだ。
 美希が倒した牌は、面子が一つも揃っておらず、一瞬私はあがっていないんじゃないかと思った。
「国士……無双……」
 プロデューサーさんの呟きが聞こえた。どうもそういう役があるらしい。
「……それで今回は何点なんですか?」
「役満よ」
 律子さんがそう答えた。
「えっ!? や、役満て、さ、さっきと同じ……!?」
「そういうことになるわね。……まったく。二人でやってるのにまだボンクラなのね、あなたは。“手を見ずに場を見よ”って格言、知らないの?」
「い……いや、絶対におかしい! 二連続で役満なんて予想できるかッ! ……イカサマかッ!?」
 しかし律子さんは首を振って、
「美希は素人だって言ったでしょう。そんな娘が、どうしてイカサマなんてできるの? しかも、あなたが見てる前よ」
「……ッ!」
 確かに、プロデューサーさんって動体視力とかはすごいみたいだからなぁ。きっとイカサマなんてできないんだろう。
「……私だって驚いてる。すごすぎる強運だわ、この娘……」
 そう言う律子さんの口調は、真実、興奮に満ちていた。

 そして、極めつけが次の局。
 美希の親――
 プロデューサーさんは「まだいける……きっと……いける……」とぶつぶつ呟いている。しかし放心状態一歩手前といった顔をしていた。
 そして、牌が全員に行き渡ったとき、
「あれ? 律子、なんか……これ、もうできちゃってない?」
「……は、ぁっ!?」
 美希が、まだツモしていないのにぱたぱたと牌を倒すと――
 そこにはすでに、四面子一雀頭が完成していた。
「……(天和/テンホー)……」
 プロデューサーさんが心ここにあらずといった感じで呟いた。
「……あの。律子さん、これって……?」
「親が、牌牌時にもうあがってるっていう役で……役満よ」
「…………」
 三連続役満――
 どんなに麻雀に疎い私でも、それがとてつもないことだというのは理解できた。
「……あ、ありえ、ない……」
 プロデューサーさんは、今まで聞いたことのないような声でそう言い、
「…………」
 バタンと床に倒れた。
「……って、えぇーっ!? ぷ、プロデューサーさんっ!?」
 気絶していた。

「……あふぅ。なんだかよく分からないの。ミキ、結局勝ったの?」
「えぇ。これ以上ないほどまでに、ね」
「そーなんだ。よかったね~」
 美希は最後までよく分からないような口調のままだった……。

* * *

 プロデューサーさんが倒れてしまったため、麻雀は途中終了となった。……そもそもの話、もうあの美希には誰も逆転できない状態だったから、続けていようと結末は同じだったんだけど。
「嘘だ……俺が……素人に……いや……あれは……夢……? そうだ……夢だ……夢なんだ……」
 プロデューサーさんは放心状態で何やらぶつぶつ呟いている。多分心に深い傷を負ってしまったんだろう……そっとしておいてあげよう。
 しかし……ごたごたしていたせいで、結局ユニットのことについて考えるのをすっかり忘れていた。
「……ねぇ、美希」
「ん~? なぁに、春香」
 美希に話しかける。どうして勝ったのかいまだに分かっていないらしく、彼女は腑に落ちない表情のままだった。
「ちょっと、一緒に外に出ない?」
「えー。めんどくさいの」
 さっき寝ていたというのに、まだ眠たそうな顔をしている。
「……行ってきたら? ほら、お小遣いあげるから」
 と、律子さんが私の意図をくみ取ってくれたのか、そう言った。
 彼女はつかつかとプロデューサーさんに歩み寄り、スーツの胸ポケットを探る。そして財布を取り出した。
「……うわ。しけてるわねぇ。どうやって生活してるのかしら、この男」
 少しも躊躇わずに彼の財布を物色し、千円札を二枚抜き出して、それを美希に渡した。
「…………」
 いいのかなぁ、あんなことして。
「ん~。そだね、ミキ、お腹すいてきちゃったし、ちょうどいいかも」
 美希はとたんに元気になり、すっくと立ち上がった。
「それじゃ行こっか、春香」
「あ、うん……」
 現金な娘である。
 私たちがドアへと向かって歩き出すと、
「……あ、忘れてた。春香、ちょっと待って」
「はい?」
 律子さんに呼び止められ、振り返る。それと同時に、何か袋を彼女から投げ渡された。
「この前の頼まれてたやつ。お代は要らないわ、765プロに請求しておくから」
 中を見ると……小型の催涙スプレーと刃物を仕込んだ五百円玉が入っていた。そういえば頼んでおいたっけ。すっかり忘れてた。
「あ……ありがとうございます」
「いいわよ。気をつけていってらっしゃい」
「気をつけてね~」
 律子さんと小鳥さんがそう言って見送ってくれた。
 そうして、私と美希は外に出た。

-----------------------------------------------------------

以上です。

ちなみに、実際にうpった本編での麻雀の経緯としては、
一回目の半荘→P勝利。ただしこれは律子の作戦でPをあえて勝たせた→調子づいたPが、律子に倍プッシュを申し入れる。律子は演技で苦しげな表情をしてそれを承諾→二回目の半荘で律子は本気を出し、Pに圧勝→負けたPは何とか取り戻そうと、苦し紛れに同じ賭け金で再戦→これも律子圧勝。

以上の流れでPは三十万の負債を抱えることになるのでした。ちゃんちゃん。
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この記事に対するコメント

・・・ひどいPイジメをみたw
【2008/05/23 20:06】 URL | #- [ 編集]


いきなり百合展開になったらびびりますよw

というかベレッタ伏線じゃなかったんですかw
信じちゃったよww
【2008/05/23 21:12】 URL | ニコマス房 #ntAPeFmM [ 編集]

初コメ失礼します
五話のpart3もそうですが、Pのデレが可愛いかったww。次も楽しみにしてます!
私情ですが、僕は今日イーペイコウと三色くらいましたね~。
【2008/05/23 22:58】 URL | かーれる #- [ 編集]


>名無しさん
いぢめじゃないです。愛です、ラブ。

>ニコマス房さん
ですよねー。
ただ、こっちはそのつもりがないのに、百合だと捉える人もいるかもしれないなぁ、と今後の展開を構想してみて不安になる次第でございます。

深く考えているようで何も考えていない俺ですので、伏線だと解釈されそうなところが伏線じゃなかったりします。
でも、あのベレッタの解釈は面白かったので、そのまま伏線として採用しちゃおうかな……w

>かーれるさん
おお、はじめましてー。「春魂」の方ですね!
いやはや、あんなに長い動画を見ていただいているとは恐縮です……。
感想ありがとうございます。Pのキャラは、一歩間違えれば大分嫌な奴になってしまうのですが、可愛いと言っていただけてよかったです。今後ともたまにデレさせていきたいと思います!

私は麻雀はものっそい素人です。まだまともに勝てたことがない(苦笑)。強くなりたいなぁ。
【2008/05/23 23:42】 URL | 陽一 #- [ 編集]


動画見た後だと、やっぱりない方がすっきりしてますね。
しかし…役満3連続で食らった日にはPと同じリアクションするわなぁw

自分も麻雀打ちますよ!家族麻雀レベルから抜け出してないけど!
かなり前ですが、絵描き仲間と「負けたらエッチな絵を描く」で勝負すると必ず負けてました。不思議!


あと、律子に「ボンクラ」って呼ばれるのはちょっとドキドキしますね!


…いや、俺変態じゃないからね!?
【2008/05/24 07:30】 URL | RED.P #/tVxdjDU [ 編集]


(前略)……だからボンクラなのよ、あなたは。ロン」
動きのカルさに吹いたwどんだけ手慣れてるんだw

春香さんが、この世界にじわりじわりと馴染んできたのを楽しんでます。
色々な意味で面白くなってきた。
【2008/05/24 20:08】 URL | #- [ 編集]


>RED.P
ですよねー。
説明しながら麻雀やられるのってなんかやかましいなぁと思いましたw

>必ず負けて~
「口ではこう言っていても、体は正直だな」ってやつですね、分かります!

俺もりっちゃんに説教されたいです。

>名無しさん
りっちゃんはこういう、頭を使うゲームはやたらと強いイメージがありますねぇ。本当はどうだか分かりませんけど。

うぃー。春香さんも、そろそろPに負けずに縦横無尽に活躍させていく予定です。
続き書くの頑張ります。
【2008/05/24 20:58】 URL | 陽一 #- [ 編集]


バレマス、お疲れ様です。今回も良かったです!
Pと春香さんがだんだん打ち解けあってる感じが、いいですね。

つまり、Pが可愛くなってきたって事ですw


あと麻雀は本編に入れなくて良かったと思います。
ラスでトップでリーチとか・・・・・・だし。
知らない人は置いていかれちゃいますしね。

次回は更なる中二病との事ですのでw、気合を入れて待ってますね!
【2008/05/24 22:32】 URL | ぐみん #- [ 編集]


だんだんと好感度をあげていかないとまずいなぁと思いまして、今回は色々とフラグ立てにいそしんでみました。
Pがかわゆく思えてきたのなら本望です。

うーむ。やっぱり戦略がおかしい的な意味でもいれないで正解だったみたいですねぇ。
スンマセンもうちょっと勉強します……。

銃声と硝煙で満ちる、アイマス二次創作史上もっとも殺伐としたお話になるよう頑張ります!
【2008/05/25 00:05】 URL | 陽一 #- [ 編集]


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